夏休みが始まると、子どもたちはワクワクしながら過ごしますが、親にとっては「自由研究どうしよう?」という悩みの季節でもあります。
わが家も例外ではなく、毎年7月の終わりには「自由研究会議」が開かれるのが恒例でした。電車好きの息子と、植物が大好きな娘。それぞれ関心が全く違うので、親としても「どうすれば興味を活かせるかな?」と一緒に頭をひねってきました。
本記事では、身近な材料でできる科学実験を、実際の子どもとの体験談を交えながらご紹介します。
台所にあるもの、庭にあるもの、100円ショップで手に入るものなど、すぐに手に入る材料でできるものばかりです。
お子さんの「やってみたい!」という気持ちを大切に、親子で一緒に楽しみながら取り組めるヒントになれば嬉しいです。
親子でわくわく!身近なもので科学実験
プリンカップで自家製コンパス
「お母さん、電車に乗ると、どっちが北か分からなくなるんだよ」と、息子がぽつりと言ったことがありました。地図に興味を持っていた時期だったので、「じゃあ、コンパスを作ってみようか」と、この実験を提案しました。
実際にプリンカップに水を張り、磁石でこすった針を浮かべてみると、全く北を向かずにぐるぐる回ってしまいました。息子は、

えー、壊れてるんじゃない?
と半分あきれ顔。それでも

磁石でこする回数を増やしてみようか?

水をもう少し静かに入れたらどうだろう?
と試行錯誤していくうちに、ついにピタッと北を指した瞬間が訪れました。その時の息子の

お母さん、これでぼくも探検隊だ!
という喜びの声は、今でも忘れられません。
🧭 プリンカップで自家製コンパス
• プリンカップ(透明な容器)
• 水
• 縫い針または細い鉄製の針
• 磁石(ネオジム磁石など強力なものがおすすめ)
• 発泡スチロールや紙片(針を浮かべる台)
野菜や果物でエコな発電
娘が理科に興味を持ち始めた頃、「野菜で電気がつくれちゃうんだって!」と、どこかで聞いてきたらしく、目をキラキラさせていました。
「え、本当に?じゃあ、やってみようか!」と、台所からじゃがいもとレモンを出して、一緒にこの実験を始めました。
レモンを半分に切り、銅板と亜鉛板を差し込んで豆電球につなぎましたが、最初は全然光らず息子も娘も「うそー、やっぱり無理じゃない?」と不思議そうな表情。私は

うーん、なんでかなあ?

電池だって直列にすると強くなるよね。
と提案し、レモンを追加して試したところ、豆電球がほんの少し明るく光りました。

わぁ!光った!
娘は「お母さん!レモンってほんとに電池なんだ!」と声を弾ませ、その後「じゃがいもでもできるかな?」と、実験を自分から広げていくようになりました。

この実験を通して、身近な環境問題についても考えるようになりました。
⚡ 野菜や果物でエコな発電
• じゃがいも、レモンなど(電解質を含む野菜・果物)
• 銅板(または10円玉)
• 亜鉛板(または釘)
• 導線
• 豆電球またはLED
色が変わる不思議なジュース
「お母さん、魔法のジュース作って!」と、娘が笑顔で頼んできたことがあります。「紫キャベツを使うと、色が変わるんだって!」と、テレビで見たらしいのです。「じゃあ、魔法使いになっちゃおうか!」と、一緒にキッチンに立ちました。
紫キャベツを細かく刻んで熱湯で煮出すと、キッチンがほんのり紫色の香りに包まれました。その液体にレモン汁を数滴落とすと、あっという間にピンク色に変化。娘は

うわっ、魔法みたい!
と両手をたたいて大興奮。その後、重曹を加えると青から緑に変化し、

まるで絵の具みたいだね!
と何度も繰り返しては観察していました。

この実験をきっかけに、娘は「酸性・アルカリ性って何?」と質問してくれるようになり、小学生ながら理科の世界へぐっと近づいた瞬間でした。
🧪 色が変わる不思議なジュース
• 紫キャベツ
• 水
• レモン汁、重曹、酢など(酸性・アルカリ性の液体)
• コップやスプーン
意外な発見がいっぱい!身近な自然を科学する
草木染めに挑戦!
娘が「お母さん、この公園の桜の枝、持って帰ってもいい?」と聞いてきたので、「何に使うの?」と尋ねました。
「草木染めがしてみたいんだ!」と、目を輝かせながら言います。「じゃあ、桜の枝でやってみようか」と、二人で草木染めに挑戦することにしました。

お母さん、この公園の桜の枝、持って帰ってもいい?
草木染めがしてみたいんだ!

じゃあ、桜の枝でやってみようか。
桜の枝を煮出すと、淡い桜色のお湯が徐々に立ちのぼってきました。娘は

春のお花見みたいな香りがするね。
と嬉しそう。その液でガーゼを染めてみると、ほんのり桃色に色づきました。
他にも玉ねぎの皮を使うと、レトロな黄土色に。さらに紅茶の茶葉で試すと、アンティーク調の茶色が出てきて「同じ布なのに、色合いで全然雰囲気が違う!」と娘は感動していました。
色の濃淡を記録しながらハンカチやエコバッグを染めたら、世界にひとつだけの作品になり、自由研究としても自信を持って提出できました。

同じ材料でも、煮出す時間や布の種類によって色合いが微妙に変わるので、その違いを観察するのも楽しかったです。
🌿 草木染めに挑戦!
• 桜の枝、玉ねぎの皮など(染料になる植物)
• 鍋、水
• 布(綿や絹がおすすめ)
• ミョウバンなどの媒染剤(色を定着させる)
太陽の熱で料理!ソーラークッカー
息子が夏休みにキャンプに行きたいと言い出し、「じゃあ、太陽の光だけで料理ができるか試してみようか」と、この実験を提案しました。「え、本当に?」と、最初は半信半疑の様子です。
息子と一緒に段ボールを切ってアルミホイルを貼り、レジャーシートで補強しながらソーラークッカーを工作しました。
透明なラップで覆い、黒いお皿に卵を置いて実験開始。開始から1時間ほどで「まだ全然固まってないよ!」と半信半疑だった息子ですが、3時間後には卵がしっかりと温まり、白身が固まり始めていました。

太陽の力で料理できるなんてすごい!
と息子は大喜び。その後「これならホットケーキもできる?」と夢を膨らませていました。
☀️ 太陽の熱で料理!ソーラークッカー
• 段ボール
• アルミホイル
• 黒い紙または黒い鍋
• ラップまたは透明ビニール袋
• ゆで卵など加熱する食材
親子の絆を深める!台所でできる科学マジック
マヨネーズ作りで乳化を学ぶ

娘と一緒に作ったマヨネーズ
娘が「お母さん、お菓子作りしたい!」と言ってきたので、今回は少し趣向を変えて、マヨネーズ作りに挑戦することにしました。「どうして卵と油が混ざるんだろう?」と、娘が不思議そうに尋ねます。

それはね、油と水が仲良くなる魔法みたいな現象なんだよ。
と説明しました。最初、油を一気に入れてしまい、分離してまい、

あーあ、失敗しちゃった…。
と娘はしょんぼり。

大丈夫だよ、もう一回やってみよう。
と、ネットで調べた「油を少しずつ入れるのがポイント」という情報を伝えて再挑戦すると、とろりとしたマヨネーズが完成!「わあ、できた!」と娘は大喜びでした。
🥣 マヨネーズ作りで乳化を学ぶ
• 卵黄
• 酢またはレモン汁
• サラダ油
• 塩・こしょう(お好みで)
• ボウルと泡立て器
イースト菌でパンを焼く
息子が「お母さん、パン屋さんみたいに、ふわふわのパン作ってみたい!」と言い出しました。「パンが膨らむのって、どうして?」と、素朴な疑問を口にします。「イースト菌っていう生き物が、中にいるんだよ」と教えました。
生地がどんどん膨らんでいく様子を見て、息子は

わあ、ほんとに生きているみたい!
と驚いていました。
イースト菌が二酸化炭素を出すことで生地が膨らむことを説明すると、「へえ、イースト菌ってすごいんだね」と、パン作りの奥深さに興味を持ったようです。
焼きたてのパンは、香ばしくて、とても美味しかったです。
🍞 イースト菌でパンを焼く
• 強力粉
• ドライイースト
• 砂糖、塩、水
• ボウル、ラップ、オーブン
自由研究を成功させるためのヒント
テーマはお子さんの興味を第一に
自由研究は、お子さんが「面白い!」「やってみたい!」と思うテーマを選ぶのが一番です。私の息子は電車、娘は植物に興味があったので、それぞれの興味に合わせてテーマを考えました。
「電車が好きなら、磁石の実験や電気の実験」「お菓子作りが好きなら、マヨネーズ作りやパン作り」など、お子さんの好きなことからテーマを見つけるとよいでしょう。
息子が小学校5年生の時、ずっと興味を持っていた電車の自由研究に取り組んだことがあります。
「電車のモーターの仕組みを調べたい」と、息子が言い出しました。彼の「知りたい!」という気持ちを大切に、二人で図書館で本を借りたり、ネットで調べたりして、簡単な模型を作ってモーターが回る仕組みを観察しました。
彼が自ら「もっと知りたい」と探究する姿を見て、このテーマにして良かったと感じました。
失敗を恐れずに楽しむ
自由研究は、必ずしも成功するとは限りません。失敗することもあるでしょう。でも、失敗から学ぶこともたくさんあります。
私が娘とマヨネーズ作りに失敗した時、「なんで失敗したんだろう?」「次はどうすればうまくいくかな?」と、親子で一緒に考えました。
失敗の原因を突き止め、もう一度挑戦することで、成功した時の喜びはひとしおでした。
これらの実験でさらに知りたくなった場合
身近なものでできる実験を通して、「もっと深く知りたい!」「どうしてこうなるんだろう?」と、お子さんの探究心に火がつくこともあるかもしれません。
そんな時は、地元の科学館や博物館に出かけて、特別な実験教室やワークショップを利用するのもよいでしょう。
たとえば、私の子どもたちは、科学館で「液体窒素の実験」に参加したことがあります。-196℃という超低温の世界で、バラの花が凍って砕け散る様子や、風船がしぼむ様子を目の前で見てプロの解説を聞くことで、さらに科学への興味が深まりました。
また、図書館で専門の本を借りて親子で調べてみるのも一つの方法です。インターネットにはない、じっくりと読める本の世界で、新たな発見があるかもしれません。
このように、身近な実験から生まれた疑問を入り口に、学びの場を広げていくことも、素晴らしい自由研究になります。
終わりに
自由研究は、単なる宿題ではなく「親子で一緒に何かを作り上げる時間」そのものです。
うちの子どもたちも最初は「面倒くさい」と言っていたのに、成功や失敗を繰り返す中で「工夫する楽しさ」や「観察する面白さ」に気づいていきました。
完成した研究ノートを学校に持っていくときの誇らしげな表情を見て、「今年も頑張ってよかったな」と感じたものです。
ぜひご家庭でも、身近な不思議をきっかけに親子で一緒に実験を楽しみながら、思い出に残る夏を過ごしてください。
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