夏休みは、子どもたちと普段より多くの時間を一緒に過ごせる特別な季節です。
しかし、突然の雷雨や蒸し暑さ、急な気温の変化など、天候が予定を左右することも少なくありません。
わが家でも、午前中は快晴だったのに昼過ぎには土砂降りになり、公園へのお出かけ計画が中止になったことがあります。
子どもたちは「今日は何して遊ぶの?」と期待いっぱいで聞いてくるのに、外は真っ暗な空…。
そんなときに家の中でどう過ごすかで、その日の思い出が大きく変わります。
ここでは、わが家で試して大成功だった5つの“雨の日おうち遊び”をご紹介します。
元教員目線で、それぞれの遊びの教育的な効果もお伝えしますね。
筆者プロフィール
40年間、大都市近郊の小学校5校で約4000人の児童と向き合ってきた元小学校教諭。
教育相談担当として5年間、不登校や生活リズムの問題など年間約30件のケースに寄り添い、子どもと保護者の心に深く関わる。
PTA担当の3年間では、多くの保護者の悩みや喜びを共有。
夫も小学校教員という共働き家庭で2児を育てた経験から、「忙しい親だからこそできる子育て」を実践と教育現場の両面から伝える。
雨の日に親が困る3つのこと
私が雨の日に困ったのは次のような点でした。
外遊びができず、子どもが退屈してしまう
雨の日の午後、外に出られず家の中で過ごしていたときのこと。
息子は「公園行きたい!」「走りたい!」と何度も訴えてきました。
仕方なく室内で風船遊びを始めたものの、すぐに飽きてしまい、今度は妹とおもちゃの取り合いに…。

公園行きたい!
兄妹げんかが始まると、私も仲裁に入らざるを得ず、家の中がどんどん騒がしくなっていき、外で思いきり走り回れない分、エネルギーが行き場を失ってしまうのだなと痛感しました。

雨の日は外で体を動かせないため、子どもはエネルギーを発散できず、気持ちが不安定になりがちです。
走ったり跳んだりする全身運動は、脳内のセロトニンを増やし、落ち着きを取り戻す効果があります。
室内でも体を動かす遊びを取り入れることで、子どもの情緒を安定させることができます。
家の中での遊びのネタが尽きる
雨の日が続いたある週末、私は「今日は何して遊ぼう…」と朝から頭を悩ませていました。
前日は折り紙、その前は粘土、さらにその前は段ボール工作。どれも一度は盛り上がったのですが、息子に、

またこれ?昨日もやったじゃん。
と言われてしまい、正直ショックでした。私自身もアイデアが浮かばず、つい

テレビでも見ようか。
と言ってしまい、気づけばスマホを片手にぼんやり…。
子どもと向き合いたい気持ちはあるのに、ネタ切れの壁にぶつかると、親のモチベーションも下がってしまうのを実感しました。

同じ遊びが続くと子どもが飽きてしまうのは、探究心や創造性が育っている証拠です。
新しい刺激を求めるのは、学習意欲の基礎となる大切な姿勢です。
親がアイデアに詰まったときは、子どもと一緒に「何をして遊ぼうか?」と考えることで、協力して問題を解決する力が育ちます。
親の予定や家事が進まない
雨の日は、家事をまとめて片づけるチャンス…と思っていたのに、現実はまったく違いました。
朝から「おかあさん、遊ぼう!」「一緒にやって!」と息子がまとわりついてきて、洗濯物を干すタイミングも、夕食の準備も、何度も中断。

おかあさん、遊ぼう!
ようやく一息ついたと思ったら、娘が、

お絵かき手伝って〜。
と呼びに来て、結局自分の時間はゼロ。夕方には疲れとイライラが溜まり、落ち込むこともありました。

今日は何もできなかった…。
こうした困りごとは、どの家庭でも一度は経験するものではないでしょうか。

子どもが「一緒にやりたい」と言うのは、親とのつながりを求める自然な行動です。
だからこそ、雨の日に「親子で楽しめる遊びの引き出し」を持っておくことが、心の余裕にもつながります。
雨の日も大盛り上がり 室内レクリエーション5選
おうちボウリング
- 対象年齢:3歳〜小学生高学年
 - 準備時間:約10〜15分
 - ペットボトル10本とボールを準備。ピンの数を減らせば未就学児でも可。
 
リビングや廊下があっという間にボウリング場に変わる「おうちボウリング」。
わが家では500mlのペットボトルを10本用意し、中に少しだけ水を入れて安定感を持たせました。
最初はただ並べて倒すだけでも大盛り上がりですが、「何本倒せるか競争」にした瞬間、子どもたちの表情が一変。
小学3年の息子は投球フォームを工夫し、小1の娘は力加減を真剣に研究していました。

もっと難しくしてみよう!
ピンをジグザグや三角形に並べ替えると、転がすコースを考える必要が出てさらに白熱。
ある日、家族で即席トーナメントを開催し、最後に夫が本気で投げたボールでピンが大崩壊し、全員が大笑い。
雨の日でも体を動かしながら笑顔になれる遊びです。

家でのボウリング遊びは、体の発達だけでなく、見通しを立てて行動する力を養います。
ピンの配置や投げ方を工夫することで、空間認識や角度の理解といった算数的な思考も自然に育ちます。
- ピンの数や距離を調整して難易度を変えられます。
 - 小さな子でも楽しめるように、ボールを柔らかいものにしたり、ピンを少なくしたりする工夫もできます。
 
しりとりビンゴ
- 対象年齢:4歳〜大人まで
 - 準備時間:約5〜10分
 - 紙とペンを用意するだけ。
 
紙とペンがあればすぐに始められる「しりとりビンゴ」。
5×5のマス目を作り、しりとりで出た言葉を順番に書き入れていき、縦・横・斜めにそろえばビンゴです。
ある雨の日、小1の娘が「すいか」の“か”でしばらく悩み、「カレーライス」「カメ」「カモメ」と必死に絞り出していました。
「夏に関係するものだけ」や「食べ物限定」などテーマを設けると、難易度が上がって大人も夢中になります。
祖母が参加した時は聞きなれない言葉に子どもたちが興味を示す場面も。

かずのこ。

それ何?
言葉の意味を説明しながら世代間で会話が弾み、最後は祖母の「ビンゴ!」の声で大盛り上がりとなりました。
「しりとりだけでビンゴなんてできるの?」と思いますが、実際にやってみると意外と頭を使います。
子どもたちは、言葉の連想が広がることで、季節感や生活の中の言葉にも興味を持つようになりました。

言葉を使ったビンゴは、語彙力を強化し、言葉の連想や分類といった力を高めます。
これは作文や読解にも役立つ力です。
また、ルールを守りながら順番を意識することで、自己抑制力や短期記憶を使う力も伸びます。
🧩【しりとりビンゴカードのルール】
- 最初の言葉を中央など好きなマスに書く
 - 次に出てきた言葉をどこに書いてもいいけれど、前の言葉と同じ列・行にならないマスに書く
たとえば、①すいか②かめ③めだか④かさ⑤さくらと出た場合はこんな風に書き入れます。
しりとりビンゴカード記入例
 - 縦・横・斜めのいずれかで5つそろえばビンゴ
 
- ビンゴのマスに絵を描いてもOKにすると、絵が得意な子は張り切って参加します。
 - 言葉だけでなく、絵や色を使って表現することで、遊びの幅が広がります。
 
タオルでバランスゲーム
- 対象年齢:3歳〜小学生中学年
 - 準備時間:約3〜5分
 - タオルを数枚敷くだけで開始可能。
 
雨で外に出られない日は、家の中で体を動かせる「タオルバランスゲーム」が活躍します。
大きめのタオルを床に敷き、それを橋に見立てて渡ります。
わが家では「落ちたらワニの沼に落ちる」という設定。慎重派の娘はそろそろと進み、活発な息子はジャンプを試みて何度も“落下”して大爆笑でした。

タオルを使ったバランス遊びは、体の動きを育てる上で効果的です。バランスをとる動作は、脳を刺激し、集中力や姿勢を保つ力を高めます。
「落ちたらワニの沼」といった物語を加えると、想像力や自己表現力も育ちます。
- タオルをジグザグに並べてタイムアタックに挑戦したり、タオルの上にぬいぐるみを乗せて運搬レースに発展させたりとアレンジ自在です。
 - わざと距離や幅を変えながら難易度を調整すれば、運動能力や集中力も自然と鍛えられます。
 
サイレントチャレンジ
- 対象年齢:5歳〜大人まで
 - 準備時間:約5〜10分
 - 紙とペンでお題を書いて箱に入れるだけ。
 
声を使わず、身振り手振りだけでお題を当てる「サイレントチャレンジ」。
紙にお題を書いて箱に入れ、順番に引いてジェスチャーで表現します。
小さな子にも分かりやすいように「動物」「食べ物」「乗り物」などに分けておくのがおすすめです。
ある日、娘がおにぎりを表現しようと、両手で三角を作って口に運ぶ動きをしたところ、息子の回答が大爆笑の引き金に。

三角チョコパイ!
正解が出るまで5分以上かかりましたが、終始笑いが絶えませんでした。
静かに遊べるので集合住宅でも安心で、雨の日の沈んだ空気を一気に吹き飛ばしてくれるレクリエーションです。

言葉を使わずに表現する遊びは、身振りや表情で伝える力を高め、他者の感情や意図を理解する力を育てます。
笑いを共有することで、親子の安心感も深まります。
- 最初は照れていた子どもも、慣れてくると大胆な動きになるところが見所です。
 - 親がわざと変な動きをすると、笑いが起きて場が和みます。
 
おうちミニ図書館
- 対象年齢:4歳〜中学生
 - 準備時間:約15〜20分
 - 本棚整理や「貸出票」づくりにやや時間がかかるが、準備も遊びの一部。
 
自宅の本棚を利用して「おうちミニ図書館」を開店。絵本や図鑑、小説などを並べ、司書役とお客さん役に分かれて楽しみます。
わが家では、借りたい本に「貸出票」をつけたり、おすすめ本コーナーを作ったりして本格的に演出。
娘は自分が面白いと思ったページを指差して「ここ見て!」と教えてくれたり、息子は好きな恐竜図鑑を熱心に説明してくれたりします。
「この本は悲しい終わりだけど希望もあるから好き」という言葉に、親として子どもの感受性の成長を感じました。
雨の日だけでなく、連休や夜のひとときにもおすすめです。

読んだ本の感想をカードに書いて掲示すると、表現力や文章力を鍛えることができます。
また、「本を大切に扱う」「順番を守る」といった社会的なルールも自然と身につきます。
家庭で本を紹介し合う活動は、読書習慣をつくるだけでなく、自分の気持ちを言葉で伝える力を育て、学習意欲を高める効果もあります。
【元教員推薦】おうち遊びを10倍楽しくする!万能アイテム3選
雨の日のおうち遊びを、もっと楽しくするアイテムを紹介します。
身近で手軽に手に入り、アイデア次第で何通りもの遊び方ができる、万能なアイテムをいくつか持っておくのがおすすめです。
これらのアイテムをいくつか用意しておくだけで、雨の日のおうち時間が、さらに創造的で楽しいひとときになります。
布やシーツ
一番の万能アイテムは、大きな布やシーツです。これをソファや椅子にかけるだけで、子どもたちだけの特別な秘密基地や、トンネル、お城に早変わり。
ある雨の日、子どもたちが「お城を作りたい!」と言い出したので、リビングのソファと椅子に大きなシーツをかけてみました。
入り口にクッションを並べ、中にはおもちゃや絵本を持ち込んで、あっという間に子どもたちだけの「秘密の王宮」が完成。
一日中、その中で宝物探しをしたり、絵本を読んだりして過ごしました。

窓に貼って影絵遊びをしたり、床に広げて道を作ったりと、子どもの想像力次第で遊び方は無限に広がります。
マスキングテープ
床に貼って遊べるマスキングテープも、おうち遊びの強い味方。
床に道路や線路、ジャンプして進むコースを作れば、部屋中がアスレチックに。わが家では雨が続いて外で体を動かせない日が続いたとき、マスキングテープを床に貼って遊んでみました。
リビングから廊下、子ども部屋まで、テープで複雑な道路や線路を作ると、息子がミニカーを、娘が電車のおもちゃを持ち出して大興奮。
二人で「この道はどこに続くかな?」と想像しながら、テープの上をなぞって遊んでいました。

壁に貼って的を作り、ボールを投げる遊びも盛り上がります。
貼ったり剥がしたりが簡単なので、賃貸住宅でも安心して使えます。
マグネットボード
お絵かきに飽きてしまったとき、マグネットボードを冷蔵庫に貼り付け、色々なマグネットを渡してみました。
娘は動物マグネットで動物園を作り、息子は形のマグネットを組み合わせてロボットを制作。
私が夕食の準備をしている間も、二人でマグネットを使って物語を作りながら楽しんでいました。

動物や乗り物のマグネットを並べて物語を作ったり、自由に絵を描いたり、パズルをしたり。
遊びの幅が広がるだけでなく、片付けも楽になるのが嬉しいポイントです。
まとめ:雨の日こそ、親子の時間を楽しむチャンス
雨の日はつい「予定が崩れた」「退屈」と思いがちですが、家の中でも工夫すれば家族全員が思いっきり笑って過ごせます。
今回紹介した5つの遊びは、どれも準備が簡単で、特別な道具もほとんど不要。
親子で一緒に考えたり競ったりする中で、会話や笑いが増え、集中力や発想力、他者とのやりとりの力も自然と育ちます。
今年の夏は、雨の日こそ“おうち時間”を最大限に楽しんで、家族の思い出を一つでも多く増やしてください。
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