子どもが自分の気持ちをうまく言葉で表すことができると、心が軽くなり、人とのやり取りも前向きになります。
日常の中で、「なんとなくモヤモヤする」「今日は楽しかった」などと気持ちを共有できる習慣は、親子の信頼関係を深めるうえでも大切です。
今回は、私自身が家庭で実践して効果を感じた4つの感情表現あそびと、小学校教員として延べ4000人の児童と向き合ってきた過程で実感した、子どもの心理についてご紹介します。
ちょっとした遊びが、将来のコミュニケーション能力や人間関係の土台になる――そんな親子の時間を一緒に作ってみませんか。
筆者プロフィール
40年間、大都市近郊の小学校5校で約4000人の児童と向き合ってきた元小学校教諭。
教育相談担当として5年間、不登校や生活リズムの問題など年間約30件のケースに寄り添い、子どもと保護者の心に深く関わる。
PTA担当の3年間では、多くの保護者の悩みや喜びを共有。
夫も小学校教員という共働き家庭で2児を育てた経験から、「忙しい親だからこそできる子育て」を実践と教育現場の両面から伝える。
【まさこ先生の実践】子どもの語彙力が劇的に増える!元教諭が家庭で試した感情表現あそび4選
子どもの感情表現を豊かにするためには、”あそび”を取り入れるのが効果的です。
私が40年の教員生活と自分の家庭で実践し、絶大な効果があった4つの方法をお伝えします。
【まさこ先生オリジナル】感情カード遊び:心のモヤモヤを「見える化」するわが家の10分習慣

筆者宅で使用した筆者作の感情カード
わが家では、夕食後の10分間を「こころタイム」と名づけ、家族全員でその日に感じた気持ちをカードから選び出していました。
息子が1年生の頃、「給食をおかわりできたからうれしい!」と笑顔でカードを出してくれたのがきっかけです。
ある晩、いつもは元気な彼が、カードを静かに差し出したことがありました。

今日は悔しかった。
理由をたずねると、「図工で思うように作れなかった」とこぼしました。

おかあさんも、今日は仕事でちょっと落ち込んだ。
私もそう打ち明けると、彼が“もやもやカード”を私に手渡し、「じゃあ、直す方法を考えよっか」と笑ってくれたのです。
感情カード:わが家の遊び方
- 夕食後の10分間を「こころタイム」として設定
 - 「うれしい」「悲しい」「びっくりした」などの感情が絵と文字で表されたカードを用意
 - 家族全員でその日に感じた気持ちをカードから選んで発表
 
この遊びは感情を見える化するだけでなく、お互いの心を知り、支え合う時間を作ります。
ポイントは、子どもが選んだ感情を否定せず、「そうだったんだね」とまず受け止めることです。
言葉と表情がリンクしたカードを使うことで、子どもは自分の気持ちに意識を向け、言葉で表現するための足がかりを得ます。

教育心理学では、感情を言葉やイメージで「見える化」することがメタ認知能力の発達を促すとされています。
特に6〜9歳は自己認識が芽生える時期で、カードによる視覚的な表現が、自分の気持ちを客観的に捉える第一歩になります。
ロールプレイ:相手の気持ちを自然に想像する「ごっこ遊び」の魔法
ある雨の日、外出できず退屈していた娘が、言いました。

お店屋さんやりたい!

どんな商品を売るの?。

甘くておすすめのりんごです!
娘は元気に答え、試食をすすめる仕草までしてくれました。
別の日には、「病院ごっこ」でくまのぬいぐるみを診察。

くまちゃん、体調どうですか?
と真顔で聞き、「早く元気になりますように」と頭をなでていました。
ロールプレイ:わが家の遊び方
- 店員さん、お医者さん、先生など、さまざまな役になりきる
 - 親子で役割を交代しながら会話のやりとりを楽しむ
「相手が困っていたらどうする?」など、感情に関する問いかけを自然に織り込む 
店員さんやお医者さんなど、役割になりきって会話することで、自然に相手の気持ちを想像する力が育ちます。
遊びの延長で「嬉しかったらどんな言葉をかける?」といった感情のやりとりが学べます。
また、親も一緒に参加することで、子どもの表現がさらに豊かになるのを実感できます。

ロールプレイは、社会性と情動の学習(SEL)の領域でいう「共感と対人スキル」を養う有効な手段です。
ごっこ遊びは社会的役割理解を促すため、親子でのロールプレイはその発達支援として非常に効果的です。
絵本の感情リレー:語彙力と共感力を高める問いかけ術
ある夜、息子と一緒に読んだ『おこだでませんように』という絵本で、主人公が短冊に願いを書く場面がありました。
息子は小さな声でとつぶやき、その理由を「いっぱい怒られると心がしょんぼりするから」と説明してくれました。

この子、きっと悲しい気持ちだと思う。
この一言に、登場人物と自分を重ねる共感力が静かに育っているのを感じました。
絵本の感情リレー:わが家の遊び方
- 絵本を読み聞かせる際、ただ読むだけでなく「この子はどんな気持ち?」と問いかける
 - 登場人物の表情や行動から、その奥にある心の動きを想像させる
 - 日替わりでいろいろな作品に触れ、親子で”感情リレー”を楽しむ
 
絵本は、物語の中でさまざまな感情を体験できる小さな舞台です。
読むだけでなく問いかけることで、子どもの感情と言葉のセンスが同時に育ちます。
物語の奥にある心の動きに気づく力は、日常のコミュニケーションにも活きてきます。

読書中の問いかけは、言語的感情表現能力を育てるとされます。
特に物語の登場人物の気持ちを推測する活動は、「心の理論」の発達を支え、他者の視点を想像する力を伸ばすことが実証されています(Astington, 2001)。
感情ジェスチャー:体を使って「隠れた気持ち」を表現する裏ワザ
娘が「さびしいらくだ」と言って小さく丸まった姿に、思わず笑ってしまったことがあります。しかも

怒ってるらくだはね、友達に笑われたときの気持ち。
と教えてくれたのです。
遊び方
- 「しりとり」に感情表現を組み合わせる
例:「らくだ」→「眠いらくだ」「怒ってるらくだ」などの感情をつけて、ジェスチャーで表現 - 順番に感情をつけて演じ、お互いの表現を当て合う
 
このように遊びの中で、普段は隠れていた気持ちが顔を出す瞬間があります。
体を使うことで言葉以上に感情が伝わることも多く、親子の距離が自然に縮まります。

身体表現を伴う活動は、非言語的コミュニケーション能力を育てる教育的価値があります。
特に身体化された感情理解の研究では、感情を動作で表すことが自己理解と情動調整力を高めることが示されています。
【心理学に基づいた裏ワザ】感情表現を育む3つの心理テクニック
感情カード遊び、ロールプレイ、絵本の感情リレー、感情ジェスチャー――
これらの遊びを実践する際、親の声かけや関わり方が子どもの感情表現の成長を大きく左右します。
ここでは、遊びをさらに効果的にする3つの心理テクニックを、深掘りしていきます。
感情を「否定しない」技術:親がやってはいけないNG行動
子どもが感情を表現したとき、親の最初の反応が子どもの心の開き方を決めます。
しかし、善意から発した言葉が、実は子どもの感情表現を閉ざしてしまうことがあります。
やってはいけないNG行動
- 「そんなことで怒らないの」「泣くほどのことじゃないでしょ」
 
子どもの感情を否定する言葉です。子どもにとっては「そんなこと」ではなく、大きな出来事なのです。
感情の大きさを親が判断してしまうと、子どもは「自分の気持ちは間違っているんだ」と感じ、表現を控えるようになります。
- 「お兄ちゃんなんだから我慢しなさい」
 
年齢や立場を理由に感情を抑え込む言葉は、子どもに「感情を持つこと自体が悪いこと」というメッセージを送ってしまいます。
感情は年齢に関係なく、すべての人が持つ自然な反応です。
- 「でもね」「だけど」と続ける否定
 
「悲しかったんだね、でもあなたも悪かったでしょ」と、共感の後すぐに否定や説教を続けてしまうパターンです。
子どもは最初の「でも」で心を閉じてしまい、その後の言葉は耳に入らなくなります。
- すぐに解決策を提示する
 
「じゃあこうすればいいじゃない」と問題解決に走ると、子どもは「気持ちを聞いてほしかっただけなのに」と不満を感じます。
まずは感情を受け止め、解決は子どもが求めてからで十分です。
感情を否定しない技術のポイント
子どもが感情を表現したら、まず3秒間、何も言わずに表情を見つめましょう。
そして「そうだったんだね」「つらかったね」「嬉しかったんだね」と、シンプルに受け止める言葉だけを返します。

アドバイスも励ましも、その後でかまいません。
まずは感情そのものを受け入れることが、子どもの心を開く第一歩です。
「〇〇だったんだね」で心をひらく「感情のラベリング」効果
心理学で「感情のラベリング」と呼ばれる技術があります。
これは、子どもが「もう嫌だ!」と叫んだとき、親が「悔しかったんだね」「疲れちゃったんだね」「思い通りにいかなくてイライラしたんだね」と具体的な感情の名前をつけて返すことです。
相手の感情に名前をつけて言葉にすることで、その感情を認め、整理する手助けをし、子ども自身が漠然としたモヤモヤを「ああ、これは悔しさなんだ」と認識できるようになります。

感情のラベリングは、SEL領域の「自己認識と自己管理」に直結します。
教育心理学的には、感情を言語化することが扁桃体の過活動を抑え、冷静な思考を促すという神経科学的根拠もあります(Lieberman et al., 2007)。
ラベリングの具体例
4つの遊びでラベリングをすると次のようになります。
- 感情カード遊び:子どもが黙ってカードを見つめているとき
「選ぶの難しいね」
「いろんな気持ちが混ざってるのかな」 - ロールプレイ:店員さん役の子どもが元気に接客しているとき
「お客さんを喜ばせたいって思ってるんだね」 - 絵本の感情リレー:子どもが「この子、かわいそう」とつぶやいたら
「悲しい気持ちに気づいたんだね」
「優しい気持ちになったんだね」 
なぜラベリングが効果的なのか
感情に名前がつくことで、子どもは自分の内側で起きていることを理解しやすくなります。
また、親が自分の気持ちを言葉にしてくれることで、「わかってもらえた」という安心感が生まれます。
この安心感が、次も感情を表現しようという意欲につながるのです。

さらに、親がラベリングを繰り返すことで、子どもは感情語彙を自然と増やし、自分の気持ちを言葉にする力が育ちます。
「遊びの終え方」がカギ:子どもの心に残る声かけ
遊びが盛り上がったとき、どう終えるかは実は重要なポイントです。
遊びの最後の声かけ次第で、子どもの心に残る学びの深さが変わります。
遊びの終え方のNG例
「はい、おしまい。片付けなさい」と唐突に終わらせたり、「楽しかったね」とだけ言って次の活動に移ったりすると、せっかくの体験が浅いまま終わってしまいます。

「今日は○○ができたね」と成果だけを褒めるのも、子どもは「できること」だけに価値があると感じてしまいます。
心に残る終え方のテクニック
- 感情カード遊びを終えるとき:共有できた喜びを伝えましょう。
「今日はみんなでいろんな気持ちを知れたね。おかあさんも〇〇くんの気持ちがわかって嬉しかったよ」 - ロールプレイの後:子どもがあらわした感情に焦点を当てます。
「〇〇ちゃんが店員さんになったとき、お客さんのことをすごく考えてたね。優しい気持ちが伝わってきたよ」 - 絵本の感情リレーの後:最後にもう一度振り返る時間を作ります。
「この本を読んで、〇〇くんはどんな気持ちになった?」 - 感情ジェスチャーの後:身体表現の価値を認めます。
「体で表すと、言葉だけより気持ちがよく伝わったね。面白かったね」 
振り返りの魔法
遊びの最後に1〜2分、「今日はどんな気持ちだった?」「どの場面が一番印象に残った?」と振り返る時間を設けるだけで、体験が記憶として定着しやすくなります。
たとえば、「おかあさんは〇〇のとき、あなたの表情が優しくて素敵だなと思ったよ」などのように、具体的な場面を伝えることで、子どもは「自分の感情表現が見てもらえている」と実感し、次回への意欲が高まります。

終わり方を意識するだけで、同じ遊びが何倍も深い学びになります。
遊びを「やって終わり」にせず、親子で振り返り、共有する時間を持つこと。この数分間が、子どもの感情表現力を着実に育てていきます。
【成長別ステップ】元教師が教える小学生の心に響く感情教育法(低・中・高学年別)
「感情を言葉にする遊び」は、幼い子どもたちにとって心を開く大切な時間です。
しかし、成長するにつれて子どもの心はより複雑になるので、親子のコミュニケーションも変えていく必要があります。
低学年(1〜2年生):遊びの中で「感情の地図」を作る
この時期の子どもたちは、自分の気持ちをうまく言葉にできないことがありますが、想像力が豊かで遊びを通して学ぶことが大好きです。
低学年では、感情という抽象的な概念を「地図」のように視覚化し、子どもが自分の心の中を探検できるようサポートしましょう。
感情カードで「地図の場所」を増やす
基本的な「うれしい」「悲しい」だけでなく、より具体的な状況カードを加えます。
状況カードの例
- 「友達におもちゃを貸してもらえなかったとき」
 - 「テストでいい点が取れたとき」
 - 「順番を抜かされたとき」
 
カードを並べながら親子で話し合います。

この気持ちとこの気持ち、似てるね。

うん、どっちもモヤモヤする。

そうだね。でもこっちは悲しくて、こっちは怒ってる感じかな?
こうして地図上に「うれしい場所」「悲しい場所」「びっくりする場所」を書き込んでいくように、子どもの心の中に感情の地図が形成されていきます。
ロールプレイで「地図を訪れる」体験をする
単なる「ごっこ遊び」から一歩進んで、感情を想像する問いかけをします。

もしあなたがこの絵本の主人公だったら、どんな気持ち?

えーっと、ドキドキする!

どうしてドキドキするの?

だって初めての場所だから。

これは地図を「読む」だけでなく、実際にその場所を「訪れる」体験です。
遊びを通じて感情の地図を広げることで、子どもは自分の心をより豊かに理解できるようになります。
中学年:「気持ちノート」と「親の聞く力」で心の変化に寄り添う
この時期になると、子どもたちの世界は一気に広がり、感情もより複雑になります。
友達との関係や学業での悩みなど、親には見えない葛藤を抱え始め、言葉で話すのが少し恥ずかしくなる時期でもあります。
この時期は、実践的なツールと親が「教える立場」から「寄り添う立場」へとシフトする移行期です。
ここで効果的なのが「気持ちノート」です。日記のように毎日書くのではなく、「言いたいことがあったら書いてね」と声をかけ、子どもが自発的に書けるノートを用意します。
親の返事を書き添えることで、紙上での感情の対話が生まれます。
書かれた内容を否定せず、「そうだったんだね」と受け止めることが重要です。
子どもは「ここに自分の気持ちを表現していいんだ」と安心できます。
【親子交換ノートについてはこちらの記事で詳しく述べています】👇
【元教師が実践】反抗期の心を解く「親子交換ノート」 続けられる超入門・心の成長を促す3つのコツ
また、子どもが「むかつく」と言ったとき、「なぜ?」と尋ねられと、子どもは責められているように感じることがあります。
代わりに、「どうしてそう思ったの?」と尋ねることで、子どもの心の奥にある本当の気持ちを引き出すことができます。
この微妙な言い回しの違いが、子どもが心を開くかどうかを左右します。
さらに、親が”聴く力”を磨くことも重要です。親の姿勢として大切なのは、以下の3点です。
②すぐにアドバイスせず、まず共感する
③「そう感じたんだね」と感情を認める言葉をかける。
高学年:自律を促す「メタ認知」と「共通の話題」からの対話
思春期を迎え始める高学年になると、子どもは親から自立しようとします。
感情を親に話すことをためらうようになりますが、これは成長の証です。
無理に聞き出そうとするのではなく、自然と話せるような関係性を築くことが重要です。

高学年では、自分で自分の感情をコントロールする力(メタ認知)を育てることが最優先になります。
自分の感情に気づき、その感情を一歩引いた視点で観察できる力のこと。
直接「今日の気持ちは?」と聞くのではなく、まずは、共通の趣味や興味のある話題(ゲーム、スポーツ、音楽など)から会話を広げましょう。
思春期の子どもは、親からの直接的な質問を「詮索」と感じやすくなるため、第三者的な話題を入り口にすることが効果的です。
また、「このキャラクターが怒っているのは、どんな気持ちだろうね?」といった、一見すると無関係な話が、子どもの感情を表現するきっかけになることがあります。
子どもは防衛心を解き、自然と自分の気持ちを語り始めます。
具体的な問いかけ例
- 「今、イライラしてるみたいだけど、どうしたら落ち着けるかな?」
 - 「その気持ちになったのは、どんなことがきっかけだったと思う?」
 - 「もし明日の自分がこの状況を振り返ったら、何て言うかな?」
 
こうした問いかけは、子どもが感情の波に飲まれず、自分で解決策を探す力を育みます。

思春期に向けた準備として、メタ認知はとても大切なスキルの一つです。
この力があれば、その後も自分の感情と上手に付き合っていけるでしょう。
【環境別】日常の景色で心を育む2つの習慣
子どもの感情教育は、特別な場所や時間がなくても、日常の「環境」の中で自然に育むことができます。
家庭の中の「食卓」と、外の世界の「自然」。この2つの環境は、どちらも特別な準備がいりません。
食卓は「心の交差点」:親も気持ちを共有する習慣
家族がそろう食卓は、言葉だけでなく表情や空気感も交わる”心の交差点”です。
わが家では娘が夕食中、学校でのひとこまを話すことが多く、娘の気持ちを知るよい機会になっていました。
大切なのは、子どもにだけ聞くのではなく、親自身も今日の気持ちを口にすることです。

おかあさんは今日、仕事でちょっと緊張したけど、うまくいって嬉しかったよ。

お父さんは疲れたけど、帰り道の空がきれいで癒されたな。
このように、親の感情を共有することで、子どもは「気持ちを話していいんだ」と安心します。

家族それぞれの一日が交差し、感情が自然と行き交う食卓で、「今日はどうだった?」「楽しいことあった?」といったシンプルな問いかけから始めるだけで、毎日のごはんのささいな会話が親子の感情を育てます。
自然の中で「五感」を開放する感受性の育て方

筆者が子どもたちとよく行った近所の児童公園の木立
家の近くの公園や庭先、ちょっとした林の中など、自然の中で過ごすひとときは、子どもの感情を育てる宝箱のような存在です。
風が木々を揺らす音に耳を澄ませたり、葉っぱの感触を手で確かめたり、小さな虫を見つけて驚いたり――
五感すべてが刺激される自然の中では、子どもの感受性が自然と研ぎ澄まされ、そこで得た体験は、心に残りやすく、言葉にもしやすくなります。
ある秋の日、娘と落ち葉を拾っていたときのこと。

この葉っぱ、なんだかさみしいね。

どうしてそう思ったの?

茶色くなってて、ひとりで落ちてたから。
空を見て「今日の雲、元気そう!」と話すような自由な感性も、自然の中だからこそ引き出されるものです。
親子で外に出て、感じたことを言葉にしてみるだけで、子どもの心の表現力はぐんと広がっていきます。

「この風、気持ちいいね」「鳥の声が聞こえるね」といった親の何気ない言葉が、子どもに「感じたことを言葉にしていいんだ」というお手本になるのです。
【わが家の正直な体験記】気持ちノートで「イライラ」を整理できた瞬間
息子が小学校に入った頃、言葉で気持ちを伝えるのが少し苦手な様子がありました。
そこで、小さな薄いノートに「今日の気持ちをひとつだけ書く」ことを提案してみました。
最初は短い言葉から始まりましたが、だんだんと出来事と感情を結び付けて書くようになっていきました。
ある日、ノートに「イライラした」とだけ書いてありました。私は「そうだったんだね」とだけ返事を書きました。
すると翌朝、ノートには「先生に注意された。でも、ぼくも悪かった」と続きが書いてあったのです。
彼なりに気持ちを整理していたことが伝わってきました。
このノートは、息子にとって正直な気持ちを安心して表現できる場所になっていました。
対面では言いづらいことも、ノートになら書ける。そして書くことで、自分の感情を客観的に見つめ直すことができたのです。
正直な気持ちを引き出すポイント
- 毎日書かせようとせず、「書きたいときに書く」自由を与える
 - 子どもが書いた内容を否定したり、説教の材料にしたりしない
 - 親の返事はシンプルに、まず受け止める言葉から始める
 - ノートは子どもと親だけの秘密の交換日記として扱う
 

家庭の中で、言葉だけでなく「書く」という手段を持つことで、子どもの感情表現はより自由に、深く育っていきます。
【まとめ】今日からできる感情教育の第一歩:「生きる力」を育む親子の会話
感情を言葉や動きで表せることは、子どもにとって人生を歩むうえでの大切な基礎力です。
この力は、友達との関係づくり、挑戦への意欲、困難を乗り越えるための粘り強さにもつながります。
今回ご紹介した4つの遊びは、どれも特別な準備がいらず、今日からすぐに家庭で取り入れられる方法ばかりです。
完璧を目指す必要はありません。一日5分、夕食後のちょっとした時間でも構いません。
親子の会話に「今日はどんな気持ちだった?」と尋ねる時間を加えるだけで、子どもの心は少しずつ豊かに育っていきます。
そして、その積み重ねが、お子さんが自分の感情と上手に付き合い、他者の気持ちに寄り添える力となって、未来への大きな贈り物となるのです。
さあ、今日の夜から始めてみませんか?
お子さんと一緒に「今日のうれしかったこと」を一つずつ話すだけでも、感情教育の第一歩です。
小さな変化を楽しみながら、親子で心を育む時間を大切にしてください。
きっと、お子さんの表情や言葉に、嬉しい変化が現れるはずです。
【お子さんの豊かな感情表現を育てたい方にはこちらもおすすめです】👇
【元教員直伝】夏休みの「廃材アート」で創造力を育む!作品を「表現」に変える親の問いかけ術
  
  
  
  
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