夏休みは、普段よりもきょうだいが一緒に過ごす時間が長くなり、楽しい思い出が増える一方で、ちょっとした衝突も増える時期です。
私の家でも、小学生の兄と年の近い妹が毎日のように言い合いをしていました。きっかけは本当に些細で、おやつを食べる順番から、おもちゃの独占、さらには「先に座ったのはどっちか」など、傍から見れば笑ってしまうようなことばかり。けれど、その瞬間は本人たちにとって真剣勝負です。
当初、私は「仲良くしなさい!」とつい一言で済ませてしまっていましたが、同じ揉め事が繰り返されるうちに、「叱るだけでは解決しないのかもしれない」と思うようになりました。試行錯誤の末に気づいたのは、けんかの裏には必ず“その子なりの理由や感情”があること。
この記事では、私が実際の生活で取り入れ、効果を実感した“親の接し方のコツ”と、その中で見つけた兄妹の変化をお伝えします。
きょうだいげんかは親次第!今日からできる3つの工夫
きょうだいげんかは、親の関わり方ひとつで大きく変わります。わが家でも、何度も試しては失敗しながら、少しずつ兄妹の関係性が改善されていきました。私が最初に変えたのは、「叱るより先に、理由を聴く」という姿勢です。
以前は、けんかが始まった瞬間に「やめなさい!」と声を上げ、どちらが悪いかを一方的に判断していました。しかしこれでは、どちらの話もきちんと聴かずに終わってしまい、不満が心に残ったままになります。
そこでまず、兄には「何が嫌だったの?」「どうしてそう思ったの?」と質問し、妹にも「どうしたかったの?」と同じように聞くようにしました。
不思議なもので、親が落ち着いて耳を傾けるだけで、子どもたちも最後まで話そうとするようになり、お互いの感情を知るきっかけになったのです。
さらに、時間がある日はその場の会話だけでなく、寝る前や夕食後に「今日のけんか、どう思った?」と軽く振り返る時間を設けました。この“振り返りタイム”が、兄妹げんかの減少に大きく役立ちました。
・子どもの気持ちを言葉で引き出す
・兄妹それぞれの視点を尊重する
きょうだいげんかを減らしたわが家の実践例
わが家の子どもたちは性格も遊び方もまったく違う、年の近い兄と妹です。兄は静かに遊ぶのが好きで、家の中で過ごす時間を好むタイプ。一方の妹は、少し控えめながらも歌ったり踊ったり、自分を表現することが大好きです。
中学生にもなるとケンカはぱったりとなくなりましたが、それまではほんとうに些細なことでぶつかっていました。
”聴く”ことできょうだいげんかが激減
けんかのきっかけは、絵本やおもちゃの取り合い、「言った」「言わない」などがほとんどでしたが、そのたびに私は「また始まった…」とため息をついていました。
最初の頃は、争いが始まるとすぐに「やめなさい!」「仲良くしなさい!」と叱っていました。けれど、叱っても叱っても、同じようなことで衝突が繰り返されるばかり。
ある日、兄が妹に向かって「絶対いやだ!」と大声を出した後、涙ながらに

おかあさんはいつも妹の味方だよね!
と訴えてきたのです。その言葉に、私はハッとしました。もしかすると、兄はトラブルのたびに、私に対しても不満を積み重ねていたのかもしれない、と。
それ以来、「叱る」よりも「聴く」ことを意識するようになりました。「どうしたかったの?」「何が嫌だったの?」と兄の気持ちを丁寧に聴き、妹にも「何が欲しかったの?」と問いかけるようにしました。
少しずつ、二人は自分の気持ちを言葉にできるようになり、言い争いの原因が見えてくるようになりました。親が冷静に耳を傾けることで、子どもたちの反応も変わっていったのです。
きょうだいげんかの原因は「気持ちのすれ違い」だった
兄妹げんかをよく観察していると、原因のほとんどは物や行動ではなく、「相手にわかってもらえなかった」という気持ちでした。例えば、妹が兄の読んでいる本を取ろうとしたときも、本そのものが欲しかったわけではなく、「一緒に遊びたかった」という気持ちから行動していたようです。
私はその気持ちに気づいてから、

おもちゃを取ったのはなぜ?

本当はどうしてほしかった?
と質問するようになりました。すると、少しずつ兄も妹も言葉で自分の思いを伝えるようになり、気持ちの行き違いから生まれる衝突が減っていきました。
「僕ばっかり我慢してる」兄の本音に気づいた日
ある日、兄がぽつりと「僕ばっかり我慢してる」と言いました。その瞬間、私は胸が詰まりました。私自身、長女として育った経験から「お兄ちゃんなんだから譲ってあげなさい」と無意識に言っていたのです。
しかしそれは、兄にだけ過度な我慢を強いていたのだと気づきました。その日から「お兄ちゃんだから」ではなく、「今回はどうしたかった?」と本人の気持ちを先に確認するようにしました。

どうしたかった?
妹にも同じように理由を聞き、一方的に役割を押し付けない関わり方を徹底しました。数週間後、兄は以前より穏やかな表情で妹に接するようになり、妹も兄に相談やお願いをする場面が増えていきました。
妹の「泣けば助けてもらえる」卒業ストーリー
妹は以前、衝突があるとすぐ泣いていました。そして泣くと、親が自分の味方をしてくれるパターンを覚えていたのです。兄はそのたび「妹はずるい」と思っていたでしょう。そこで私は娘が泣く前に質問をしました。

何が欲しかったの?

それをどう言えば相手はわかってくれたかな?
ある日、兄が本を読んでいる最中に妹が取りたがりました。泣きそうになるのをこらえて「読み終わったら貸して」と言えた瞬間、兄は「じゃあ5分後にね」と返事。ケンカは起きませんでした。
この後、妹は

言葉でお願いしたら貸してくれた!
と得意げに話してくれ、その日を境に「泣くより話す」が少しずつ習慣になっていきました。
家庭内ルールで兄妹げんかが激減!
毎回ケンカが起きてから注意するのではなく、事前にルールを決めておくことにしました。「使いたいものは先に声をかける」「順番を守る」「相手の気持ちを聞いてから行動する」など、シンプルなルールを紙に書いてリビングに貼りました。
子どもたちが自分で読めるように、イラストも添えて視覚的にわかりやすく工夫しました。
最初はうまくいかないこともありましたが、繰り返し話し合うことで少しずつ定着していき、そのうち「順番守ろうね」「貸してって言った?」と、子ども同士で確認し合う姿も見られるようになりました。
親が介入しなくても、子どもたち自身がルールを意識して行動できるようになったことに、私自身驚いています。
きょうだいげんかで親がやりがちなNG対応とは?子どもの関係性を悪化させないコツ
きょうだいげんかで親がしがちなNG行動をまとめました。親としては、何気なくしがちなことですが、子どもへの影響が大きい場合もありますので、気を付けたいですね。
NG行動 | 理由・影響 | 代わりにできる対応例 |
---|---|---|
一方だけを叱る・責める | 不公平感が生まれ、自己肯定感が下がる。被害者意識や加害者意識が固定化する。 | 両者の話を冷静に聞き、感情と事実を分けて整理する。 |
比較して優劣をつける | 競争心や嫉妬心を煽り、きょうだい関係が悪化する。 | それぞれの個性や気持ちに寄り添う言葉がけをする。 |
「もうやめなさい!」と一方的に制止する | 感情の整理ができず、モヤモヤが残る。問題解決力が育たない。 | 落ち着く時間を設け、後で一緒に振り返る機会をつくる。 |
げんかの原因を決めつける | 誤解を生み、子どもの信頼を失う。 | 「どうしてそうなったのか教えてくれる?」と問いかける。 |
無視する・放置する | 子どもが「聞いてもらえない」と感じ、感情を抑え込むようになる。 | 必要に応じて介入し、感情の言語化をサポートする。 |
「お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから我慢しなさい」 | 年長児に過度な責任を負わせ、理不尽さを感じさせる。 | 年齢に応じた理解を促しつつ、双方の気持ちに寄り添う。 |
まとめ:きょうだいげんかは親のかかわり方次第
ここでは私の実体験をお話ししましたが、きょうだいの数、年齢差などご家庭によって異なるため、これ以外のアプローチももちろんあると思います。
でも、今、きょうだいげんかに悩んでいるなら、まずは「聴くこと」から始めてみてください。きっと、少しずつ変化が見えてくるはずです。
そこからはお子さんたちに寄り添っていけば、ご家庭ごとの解決の道筋が見えていくと思います。
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