夏休みの「おうち時間」が最高の自由研究に!冷蔵庫でできる科学実験クッキング

家庭でできる体験・イベント

夏休みは子どもが新しい発見を積み重ねる大切な時期です。しかし今年のように猛暑が続いたり、人混みを避けたい時期には、外でのお出かけよりも「おうち時間の過ごし方」が鍵になります。

元教員の視点からすると、夏休みのような長期休暇は、学校ではできない「実体験を通した学び」の絶好の機会です。五感をフルに使って夢中になる経験は、ただ知識を詰め込むよりはるかに深く記憶に残り、子どもの探求心を育みます。この時期に家庭で好奇心の芽を育むことが、二学期以降の学習意欲にもつながっていくのです。

わが家でも暑さで外遊びの機会がへった夏は、思い切って「台所を研究室に変えてみよう!」と発想を転換しました。料理にちょっと“科学の視点”を加えると、普段の食材が驚きの実験材料に変わったのです。

最初は遊び半分でしたが、今では子どもたちの「今年もやろう」という恒例行事になっています。たとえば「どうして膨らむの?」「混ぜると何が起きる?」といった疑問を、実際に手を動かしながら一緒に考えることで、子どもたちの好奇心が自然と引き出されていきます。

この記事では、わが家で実際にやってみた「簡単で楽しい科学実験クッキング」の体験談をたっぷりご紹介します。”科学実験”といっても、材料はスーパーで手に入るものばかりですので、気軽に取り組めます。親子で笑いながら、ちょっと不思議な体験をしてみませんか?

※2025年8月18日に公開した記事ですが、リライト記事に必要な文言等を追記、その他の部分も修正して2025年9月1日に再度公開しました。

冷蔵庫の中が自由研究の宝箱に!実験材料探しゲーム

わが家の冷蔵庫

わが家の冷蔵庫

「さて、今日の研究テーマは冷蔵庫の宝探し!」と声をかけると、子どもたちが一気に目を輝かせました。牛乳や卵といったお馴染みの食材でも「これを混ぜたらどうなるのかな?」「冷やしたら固まる?」と一気に実験材料に変わってしまうのです。

ある日、息子が冷蔵庫の奥から紫キャベツを発見し「これ、色が変わるんだよ!」と大興奮。そこから色が変わるスープ作りが始まりました。

別の日には、娘が「氷でアイス作れるかな?」と提案し、親子で息を切らしながら袋を振るアイス作りが始まったこともあります。まさに冷蔵庫は“自由研究の宝箱だと実感しました。

材料探しの段階から「何を使う?」「どうなると思う?」と問いかけるだけで、子どもたちの目がキラキラと輝き始めるのを感じました。

親子で挑戦!台所でできる科学実験クッキング5選

親子で発見!ホットケーキが膨らむ科学の秘密【ベーキングパウダーの実験】

 

実験好きな息子がふと「ホットケーキってどうしてふくらむの?」と聞いてきたことがありました。そこで親子で挑戦したのが「ベーキングパウダーあり/なし」の食べ比べ実験です。

膨らまない方はペタンとしたクレープ風、膨らむ方はふんわり厚みのあるおなじみのホットケーキに。焼きながら息子が

むすこ
むすこ

うわっ、本当に膨らんでる!

と歓声をあげた瞬間を、今でもよく覚えています。

実験の後は、平らなホットケーキをジャムで巻いて“特製クレープ”にアレンジし、どちらも美味しく完食。科学的な発見家族の笑い同時に味わえる、最高の時間になりました。また、親として感動したこの瞬間に、教員としての血が騒ぎました。

まさこ先生
まさこ先生

この違いは、ベーキングパウダーに含まれる炭酸水素ナトリウムが加熱によって分解され、二酸化炭素を発生させることで生じるものです。

ふくらむ?ふくらまない?親子で比べるホットケーキ実験

材料(2枚分)
ホットケーキミックス 150g/牛乳 100ml/卵:1個/サラダ油(焼く用)少々
比較用(ふくらまないタイプ)
薄力粉 100g/砂糖 大さじ1/牛乳 100ml/卵 1個
作り方
1. ボウルに卵と牛乳を入れてよく混ぜる。
2. ホットケーキミックス(または比較用の粉)を加えて混ぜる。
3. フライパンに油をひいて、弱火〜中火で両面を焼く。
4. 表面に穴が出てきたら裏返す。焼き色がついたら完成!

・ベーキングパウダーの有無でふくらみ方を観察!
・焼き比べて「ふくらむ魔法」を体感しよう。

魔法みたいに色が変わる!紫キャベツのpH実験スープの作り方

スーパーで手に入る紫キャベツを鍋でコトコト煮出すと、深い紫色のスープが誕生します。そこへ息子がレモン汁を一滴垂らした瞬間、

むすこ
むすこ

あれ?ピンクになった?!

と本気で驚く姿が印象的でした。

さらに重曹を耳かき一杯ほど入れると今度は青色に変化。

むすこ
むすこ

え、魔法みたい!

むすめ
むすめ

すご~い!!

と子どもたちは大はしゃぎ。難しい化学用語は使わず、「キャベツは酸っぱいとピンク、しょっぱいと青になる秘密を持っているんだよ」と伝えると、子どもたちはすぐに理解していました。

まさこ先生
まさこ先生

この現象は、紫キャベツに含まれる色素「アントシアニン」が、液体のpH(酸性・アルカリ性)によって色調を変える性質を持つことに起因していて、酸性・アルカリ性による色の変化を視覚的に体験することができます。

このスープは飲みにくいので、我が家ではゼリーにして楽しみました。紫からピンクへのグラデーションがまるで宝石のようで、子どもたちは完成品の写真を何枚も撮りたがり、自由研究の発表資料にも使えました

色が変わる!? 魔法のスープでびっくり実験

材料
紫キャベツ 2〜3枚/水 300ml/レモン汁 小さじ1〜2/重曹 耳かき1杯程度
ゼラチン(ゼリー用) 5g/砂糖(ゼリー用)大さじ1
作り方
1. 紫キャベツをちぎって水と一緒に鍋で5分ほど煮出す。
2. キャベツを取り出すと、紫色のスープが残る。
3. レモン汁を加えるとピンクに、重曹を加えると青に変化!
4. ゼリーにする場合は、温め直してゼラチンと砂糖を加え、冷蔵庫で2時間冷      やす。
・酸っぱいとピンク、しょっぱいと青!色の変化を楽しもう。
・グラスに分けて色比べすると、さらに盛り上がる!

体力勝負!振るだけでアイスができるひんやり実験

 

夏の定番といえばアイスクリーム。今回は、家庭でできる「ふしぎなアイスクリームづくり」に挑戦しました。

牛乳と砂糖を入れた袋を氷と塩の入った大袋に詰め、タオルに包んで振り続ける作業はまるで小さな運動会。途中から「あと30秒!」「せーの!」と声を合わせ、笑いながら必死で振りました。

10分後、袋を開けるとひんやり固まった手作りアイスのお目見え。出来立ての素朴な味に、

むすめ
むすめ

次はチョコ味!いちごも入れたい!

と次の実験計画まで飛び出しました。体力は使いますが、その分完成した時の達成感は格別でした。

まさこ先生
まさこ先生

この現象は、氷と塩を混ぜることで氷の融点が下がり、周囲の温度が急激に低下するために起こります。

振るだけでできる!? 手作りアイスのひんやり実験

材料(1人分)
牛乳 100ml/砂糖 大さじ1/バニラエッセンス 2〜3滴/氷 カップ2杯分
塩 大さじ3/ ジップ付き袋(小)1枚/ジップ付き袋(大)1枚/タオルまたは    軍手 1枚
作り方
1. 小袋に牛乳・砂糖・バニラエッセンスを入れて密封。
2. 大袋に氷と塩を入れ、小袋を中に入れて密封。
3. タオルで包んで10分間シャカシャカ振る。
4. 冷たくなってアイス状になったら完成!
・氷+塩で温度がぐっと下がる!
・振る時間をタイマーで測るとゲーム感覚で楽しめる。

炭酸ジュースからシュワシュワゼリー

 

科学実験クッキングは、必ずしもすべてが成功するわけではありません。しかし、うまくいかない場面こそ、子どもとの対話が深まり、学びが生まれる貴重な機会となります。

娘が「炭酸ジュースでゼリーを作ったら、飲んでもシュワシュワするのでは?」と思いついたのがきっかけでしたが、挑戦してみると、最初は液体が泡だらけになり大失敗。冷蔵庫から取り出した瞬間の娘の落胆顔は忘れられません。しかし「どうして固まらなかったの?」という問いかけから、ゼラチンの性質について少しずつ理解が深まりました。

次に温めて溶かした方法で再挑戦すると、

むすめ
むすめ

おお!ちょっとシュワシュワしてる!

と大喜び。失敗から得られた学びの深さに、自由研究の本当の意味があると親としても感じました。

まさこ先生
まさこ先生

失敗は単なるミスではなく「発見のチャンス」。子どもの柔軟な発想力や問題解決力も育まれる貴重なプロセスです。

失敗から生まれた!ほんのりシュワシュワゼリー

 

材料(2人分)
炭酸飲料(レモンソーダなど)200ml/ゼラチン 5g/砂糖(お好みで)小さじ1〜2/耐熱容器 1個
作り方
1. 炭酸飲料を耐熱容器に入れて、電子レンジでほんのり温める
(沸騰させない)。
2. ゼラチンと砂糖を加えてよく混ぜる。
3. 粗熱をとってから冷蔵庫で2〜3時間冷やす。
4. 固まったら完成!ほんのりシュワっとした食感が楽しめます。
・ゼラチンは熱湯でしっかり溶かしてから冷やしてください。
・炭酸は加熱しすぎると泡が飛んでしまうので注意。
・失敗しても「なんでだろう?」と一緒に考える時間もまた楽しい。

子どもの知的好奇心を育む!おうち時間を特別な学びの時間に変える方法

科学実験クッキングを続けてみて気づいたのは、ただ料理を楽しむ以上に「親子で驚きを共有し、発見を分かち合える時間」がとてもかけがえのないものだということです。

わが家では最後に写真とコメントをまとめた「実験アルバム」を作っておきました。数年経って見返しても「この時は大変だったね」「意外と美味しかったね」と会話が広がります。

学校の先生方は、子どもたちの好奇心から生まれる自由研究を、何よりも楽しみにしています。子どもたちの「どうしてだろう?」という小さなつぶやきが、やがて大きな学びの芽となり、将来の可能性を広げていく。この夏、ぜひご家庭で「研究者」としての一歩を踏み出してみてください。

 

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