夏休み実践レポート|親子が一緒に育つ「家事リーダー制度」の挑戦と気づき

生活リズムとセルフケア

夏休みは、学校という生活の枠組みがなくなる時期。子どもたちにとっては楽しい自由時間ですが、親にとっては「ゲームや動画ばかりにならないか」「昼夜逆転しないか」と心配が尽きません。わが家でも毎年のように「どう過ごさせるか」というテーマが家庭内の話題になっていました。

けれども、ある年に思い切って普通の方法をやめ、「家事を親子の共同プロジェクトにする」という形を取りました。家事を分担させるのではなく、自分たちで“スケジュールを決める”やり方に切り替えると、子どもたちが思った以上に主体的に動き出したのです。

この記事では、その体験を具体的に紹介します。

家事リーダーは子どもに任せる!主体性が育つ家庭の仕掛け

 

最初は、私がホワイトボードに「掃除・洗濯・料理・ごみ出し」といった家事を細かく書き並べ、「分担してやってみよう」と提案しました。

すると、子どもたちは「えー、めんどう!」「なんで夏休みなのにお手伝いなの?」と冷ややかな表情。親にとっては当たり前でも、子どもにとっては「やらされ仕事」にしか映らなかったのです。

そこで翌週から発想を転換し、「今週の家事リーダーを決める」という仕組みを導入しました。最初の担当は小4の息子。

半信半疑で見ていましたが、ホワイトボードを持つと彼の顔が急に真剣になり、マーカーを握りしめながら「火曜と金曜は掃除の日」「水曜はカレー作り」など自分なりのスケジュールを組み始めたのです。

さらに「妹は植物係」「父さんはゴミ出し担当」と役割分担をまとめる姿を見て、私は“子どもは任されることで責任感を持つ”のだと実感しました。

まさこ先生
まさこ先生

子どもの姿を見て、私自身が「家事は親が指示するもの」という固定観念を持っていたのだと反省しました。

掃除も料理もゲーム感覚!家事をイベント化するだけで子どもが動き出す

この制度を始めると、家事がただのルーティンから“遊びの延長”に変わりました。

例えば掃除の日は「おそうじチャレンジDAY」と題して、タイマーをセットし「どの部屋を一番きれいにできるか競争!」を開催。子どもたちは普段嫌がる拭き掃除でも、「タイムアタック」と聞くと夢中になって取り組みました。

料理の日は「プレゼンDAY」。料理が完成すると、娘が司会役になって

むすめ
むすめ

さあ本日のメニューはこちら!

と発表。父が担当した日のカレーを試食するときには、

むすこ
むすこ

スパイシーさがちょうどいい!

まさこ先生
まさこ先生

もっと玉ねぎ入れてもよかったね!

と、テレビの料理番組のようなやりとりで大笑い。

家事という義務感が、“ちょっとしたイベント”に変わるだけで、家庭の空気が一気に明るくなったのです。

まさこ先生
まさこ先生

家事は「やらされるもの」から「自分たちで盛り上げるもの」へと変化しました。子どもたちは「今日は何の日?」とスケジュールを確認しながら、自分の役割を楽しむようになったのです。

子どもが家族を観察し始めた理由。家事が育てる“気づく力”

 

夏休みも半ばを過ぎたころ、息子の変化をはっきりと感じました。それまで「スケジュールを決める」こと自体に夢中だったのが、次第に「家族の様子をどう調整するか」へと関心が移っていったのです。

ある日、息子は、

むすこ
むすこ

妹、最近洗濯物たたむの嫌そうだよ。

とぽつり。それを聞いた私は

まさこ先生
まさこ先生

じゃあ次は料理担当にしてみる?

と提案すると、妹が

むすめ
むすめ

やってみたい!

と笑顔。

息子は不満や変化を敏感に感じ取るようになり、メモ帳に「掃除は30分だと長すぎる」「お昼ご飯の準備は早めに」と改善点を書き込んでいました。

親の想像を超えて、子どもは自分で家族全体を観察し“調整する力”を育てていたのです。

まさこ先生
まさこ先生

家族の動きを見ながら、無理のない役割を考え、改善まで試みる姿に、「子どもって、こんなふうに家族を見ているんだ」と気づかされました。

つい口出ししてしまう親へ。任せることで子どもは伸びる

この制度の初期、私はどうしても「違うよ、それはこうした方が効率的」と口をはさんでしまいました。その積み重ねで、ある日息子から

むすこ
むすこ

リーダーって決めたのに全部お母さんが決めてるじゃん。

と言われ、ハッとしました。以降は

まさこ先生
まさこ先生

困ったら相談してね。

とだけ伝え、それ以外は本人に任せました。

すると子どもたちは、自分で工夫を凝らすようになり、掃除は「休憩を挟んで2部制にする」、料理は「材料を先に並べておく」と段取りを改善していきました。

もちろん失敗もありましたが、私も「昔ルウを忘れてカレーがスープになったことがある」など体験を共有し、完璧じゃなくてもいいという空気を大事にしました

“やらせる”より“気づかせる”が鍵。子どもが家事に興味を持つ瞬間

家事の分担を考えるとき、年齢や性格に合わせることももちろん大切ですが、それ以上に「今、何に心が動いているか」を見つけることが鍵になると感じています。

ある日、娘が

むすめ
むすめ

この野菜、どうやって切るの?

と聞いてきたので、

まさこ先生
まさこ先生

一緒にやってみようか!

とキッチンへ。包丁の持ち方や野菜の種類に夢中になり、「次は何を切るの?」と自ら質問するようになり、それ以来、料理の時間になるとキッチンに自然と足を運ぶようになりました。また、冷蔵庫に「今週の家事メニュー」を貼り出し、「やってみたいものにシールを貼ってね」と伝えると、子どもたちは自分から選び始めました

むすめ
むすめ

水やりやってみたい!

むすこ
むすこ

洗濯物たたむのは今日はパス!

そんなやりとりが、日常の中に自然と溶け込んでいきました。

まさこ先生
まさこ先生

「この掃除機はおじいちゃんが使ってたんだよ」「この料理はママが初めて作った時、失敗したんだよ」などエピソードを添えると、子どもたちの興味がぐっと深まります。

週末の10分が親子の関係を変える。振り返りタイムのすすめ

私たちの家庭で取り入れた「週末振り返り会」は、ただの雑談にも見えますが、子どもにとって大きな学びの場でした。

週末の夕飯後、「今週どんなことが一番楽しかった?」「失敗したことは?」と一人ずつ話をしていきます。息子は「卵焼きを焦がした…」と落ち込み気味に言うと、娘が「じゃあ次は火を弱くしてみよう」と励まし、そこから家族全員で工夫を語り合うようになりました。

まさこ先生
まさこ先生

失敗したことは?

むすこ
むすこ

卵焼きを焦がした…。

むすめ
むすめ

じゃあ次は火を弱くしてみよう。

誰かが失敗談を話すと、自然と別の誰かがアイデアを出す。それは小さな会議のようで、親子の距離をぐっと縮める時間でした。

家事はただの作業じゃない。親子の関係を育てる暮らしのレッスン

家事を“親が指示する作業”と捉えていた私にとって、この夏の試みは大きな発見でした。子どもは「任せる」と責任感を持ち、家族の一員として役割を見つけていきます。そしてそれは効率よく片付けることよりも大切な学びでした。

この休み中、子どもたちは小さな失敗を繰り返しながら、自信を育てていきました。親も肩の力を抜いて「任せる勇気」を持つと、日常の家事が自然と親子の絆を強める時間に変わります。

夏休みだからこそできる、この体験をぜひ家庭で試してみてください。きっと、思いがけない変化が訪れるはずです。

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